1991年から1996年まで活動していたFEEDING THE FIREは、オランダのみならずユーロ圏内でも不動の地位を確立し、そのpolitical straight edge hardcoreは、Crucial Response Records系のTHINK TWICEやONWARD、GROWING CONCERNにも比肩していた。
ディスコグラフィ"hope springs eternal"がMad Mob Recordsからリリースされ、7ep"no submission"、SPAWNとのスプリット、コンピ"realization"、MAN LIFTING BANNERらと参加した"anti racist compilation"の収録曲も含み、彼らの初期から中期を知るにはいい音源だと思う。ちなみに、ドラムのRené NatzelはドイツのSPAWNを掛け持ちしている。
しかし、一般的に認識されている彼らのサウンドは、March Through Recordsから出した"crusade"の後期にあたる時期だと思う。往年の彼らのスタイルとは違い、SOLID STATEやBACKDRAFTに近い印象を受ける。
そもそもBACKDRAFTは1993年から約1年、FEEDING THE FIREの中核メンバーRob FransenとIllona Stephanがやっていたプロジェクトだから当然とはいえるが。
この"crusade"がレコーディングされたのが1996年で、なぜかリリースが翌年の解散後。このレーベルだけに、何らかのトラブルを疑ってしまうが、音源自体は一級品に値するクォリティー。
FEEDING THE FIRE - "1993 in Salzgitter, Germany"
前述したようにRobはFEEDING THE FIRE、BACKDRAFTそしてWHEEL OF PROGRESSなどを渡り歩いた後、1997年にBORN FROM PAINを結成。彼はボーカルからベースに転身していて、ドラムにはex FEEDING THE FIREのWouter Alersが加わっている。
ドイツのIRON SKULLとのsplit 7epに続き、"immortality"がUKのContrition Recordsからリリースされると、破竹の勢いで知名度を上げていった。US tour 2004(w/ TERROR、THE PROMISE、SHATTERED REALM)を終え、帰国もせずそのままJapan tour(w/ BLAZE OF TERROR)をこなす多忙っぷり。
2003年リリースの"sands of time"から、Karl Fieldhouseが在籍していたのも興味深い。彼はCANVAS、THIRTY SECONDS UNTIL ARMAGEDDONのメンバーでもあった。
Gang Style RecordsからMetal Blade Recordsに移籍し、さらなる飛躍が期待され4th"war"をリリースしたが、シンガーChé Sneltingが脱退。結成当時から2007年まで、フロントマンとして引っ張ってきた彼の後任を、いくらかの著名人のサポートを受け再建を試みる。
結局、5thアルバム"survival"からRobがボーカルをとることになるが、必然的なことで一切の遜色も感じない。
Chéはその後の2009年、ex MINEかつCATARACTのSimon Füllemannが始めたプロジェクトARMA GATHASに加入。
BORN FROM PAIN Japan tour 2004
BORN FROM PAIN - "the new future"
ex POINT OF NO RETURN、FEEDING THE FIREのMichel Mike Sendenがギター、Roger NBHがベースとして1995年にスタートしたRANCORは、間もなくボーカルにPascal Crombachを迎え入れる。
後にSurrounded Recordsのベネフィットコンピ"out of the cages"に提供した曲は、この頃のものでまだバンド名すら決まっていなかったという。承知の通りドラムが打ち込みの3人編成、シンセサイザー使用と、実験的ともいえるサウンドは一線を画し異端だった。しかし、根底にあるのはH8000に代表される90's edge metalで、さらにUKのIRONSIDE、UNBORNまでの影響を落とし込んだ印象を受ける。
初ライブとなったGeleen hardcore festivalは、すでにRoger NBHが脱退後でFabrice Zanderを加入させての出演だった。そしてSTRAINを招集したHans Verbeke主催のショーやVort'n Vis hardcore festival 1995の出演を果たした。1997年にLifeforce Recordsから"distinguish"のリリース前後に解散と思われる。
そして後身バンドともいえるINVIDIAを、ex CRISIS OF SOCIETYでThreesome RecordsのオーナーFerry Cropと始めた。VENGEANCE OF GAIAと同格のstraight edgeバンドとして位置付けされる。
1997年のデモ"feel my hate"に続き、Value Of Strength Zine主催のコンピ"animal justice front"に参加。さらにLifeforce Recordsから6曲入りのMCDをリリース予定していたというが、流れてしまったのは非常に残念。
解散後Michel Mike Sendenは、1998年からBORN FROM PAINのRob Fransen、Stefan van NeervenらとBLOODSPORTに活動を移す一方、RANCORとして2005年にCHIMAERAのKristof Janssenをギターに加え再起を図っている。さらにASHLARのBert(Jim Fear)がドラムで加入、脱退したFabrice Zanderの後任に同じくASHLARのFrank Rogiersが就任した。どちらもベルギーのバンドで、オランダに隣接するLimburgを活動拠点としていたため、隣県みたいな感じなのだろうか。メンツ的に興味深かったが肝心の音源は出ていない。
RANCOR - "victim 206"