90年代のリバイバルが盛んなOdessa hardcore sceneと密接なKiev hardcore sceneは、もっとメタリックな音を出すバンドが多い印象を受ける。Ukraineの首都でもあるそのシーンの先駆者にあたるのがxDEVIANTxだろうか。
2006年にLEVIATHANのメンバーらによって結成された彼らは、バンド名がxTYRANTxの曲名から由来し、かつ音楽性からの影響も推察することができる。
そのstraight edge mosh hardcoreは、Seventh Dagger Records所属のバンド、またNUEVA ETICAフォロワーに至るまで支持されていそうなスタイル。
デモを2008年にリリースすると、DEATH BEFORE DISHONORやDOWN TO NOTHINGのツアーサポートを務め、翌2009年には自主で"my choice"をリリースした。しかしドラムのЖекаが抜け、後任を立てずにそのまま解散してしまったようだ。
ABHORRENCEやVERDICTら海外とも対バンしてきたバンドで、シーンの口火を切ったともいえる存在。
xDEVIANTx - "betrayer"
2008年に結成されたmetallic hardcoreバンドTIME OF DEFEATS。
xDEVIANTxのメンバーが掛け持ちでやっていたらしいが、立ち上げだけなのかクレジット上での確認はできない。
彼らの音源は、2010年にRussiaのIncarnate Recordsから"self titled"をリリースし、日本でも流通していたのである程度の知名度はあると思う。UNBROKENプラスARKANGELとも形容され、本人らもLENGTH OF TIMEからの影響をチラつかせているが、純正ではなくアップデートさせた90's metalcoreと解釈した方がいい気がする。
そして2013年に"wasteland"をリリースすると、Mayak fest 2013の出演やWALLS OF JERICHOのツアーサポートをこなし、頭角を現していった。
2016年には、GRIEVEDやSPIRITSの海外バンドともライブを行なっていたが、それ以降音沙汰がない。
TIME OF DEFEATS - "lost in the wasteland"
2013年に単独EP、ChileのWATERGLASSとのスプリットをReason Recordsから出していたCOLD SEASONは、2010年にKievで結成されたemotional hardcoreバンド。
バンド名をDRIFT AGAINの曲名から取ったと思われるそのサウンドは、EMPATHYやFLAGMAN、ADVANCE等を彷彿させ、SimferopolのMEMORIALSとも比肩する。
Odessa hardcore sceneとの関わりが深い一方、Young Voices Records企画に出演したり、RussiaのOBSESSIONと対バンするなど幅広い範囲で活動していた。
しかしMayak fest 2013の出演、そして音源を出した最盛期に解散となってしまった。
その後ギターのTaras ShevchenkoとドラムのAnton Pavliukは、新たに結成したYAHへと活動を移す。これが蓋を開けてみれば、COLD SEASONをさらに推し進めた90's indie rock/emoバンドだったが、BUCKWHEATなどこの手の音も充実しているKiev hardcore sceneでもある。2016年に"we woo"をリリース。
COLD SEASON - "Маяк fest 2013"
2009年結成のMY VICTORYは、NASTYやTRY ONE'S LUCK、BLACK MY HEARTライクなbeatdown hardcoreをプレイしていたバンドだが、それに反し弦楽器隊2人が女性とはとても信じがたい。
唯一の音源を、metallic hardcore/beatdown hardcoreバンドが多く在籍していることで知られるFatality Recordsから、2011年に5曲収録の"new jerk"をリリースした。その2 step/mosh partを織り込んだ楽曲は、レーベルメイトであるTernopilのSTRIKE EARCH OTHERにも引けを取らない内容になっている。
CUNTHUNT 777やIN BLOOD WE TRUSTとのライブ経験を積み、期待株であったにも関わらず2012年の解散は、あまりにも早くそして唐突だった。
翌2013年のリユニオンを機に、動向を気に掛ける人も少なからずいたと思うが、実際は一夜限りの復活だったようだ。
MY VICTORY - "интро"